十月十八日

 

秋よ、と思っていたらもう初冬の寒さ

気軽に外出したら心底冷えた

木々が黄色、赤、と色づいて

寒いけれど秋はいい

ふかふかのニットを着ていたり

起毛のハットをかぶっていたり

秋の装いも素敵

かさかさと

落ち葉の絨毯を踏む

 

 

 

最近好きな本が出版された。

「常識のない喫茶店」

ネットで連載していて、更新を心待ちにしていたのだが、このたび書籍化となり拍手喝采。

喫茶店で働く著者がとても素直に日常の喫茶店について書いていて、働く側として、共感しない人なんていないのではないかという面白さ。

お客さんに対して思うこと、マスターの振る舞い、繰り広げられる喫茶店の日常。

お客さんにあだ名をつけたり、好き嫌いがあったり、忙しさとのたたかいだったり、スタッフのおしゃべりだったり。

うちの店もこういう日々の繰り返しで、スタッフにだって喜怒哀楽があって、個性があって、それで良いと思っている。

マスターの「うちの店ではやさしい人しか働けない」という言葉は沁みる。

本部を始めた頃は、静かでしっとりとしたお店にしようと努力した。

かさかさした、仄暗い美しさ。

一筋の光がこの世の全てだと信じていた。

けれど今のわたし。

きれいな顔してそつのない澄ました接客よりも

人間味が溢れる面白い喫茶店がいい。

そんな風に考えられるようになったのは

歳を重ねたせいか、人としてお客さんを見るようになったせいか。

変わらない美と、変化し続ける美。

両方が美しいし、

両方あって人生は色づく。

そんな想いが募る、読書の秋です。

 

 

 

 

 

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