投稿日:二〇二二年八月六日

食べものを口にしたとたん涙が出るなんてことは
いつぶりだろうか

友人が作ってきてくれた、高野豆腐の煮物。
一口食べて、何かがぷつんと切れたように涙がでた
悲しい寂しい嬉しいという感情が
一気に押し寄せてきた
その時の状況なんてお構いなしに溢れてきて
自分でも驚く

感情をひとつひとつ整理して説明するとしたら、
とてつもなく長くなりそうだ。
結局何を言っているか分からない、いつもの自分。
それでもその感情の正体をちゃんと理解して、
素直に受け止められている、そんな自分。
どちらも同じわたしだ。

どうしてもこの時の感情を忘れたくなくて
ふとした時に思い出せるように
自分のなかにある壁とか弱さとか
ちょっと取っ払ってみたくもなって
なかなか書けずにいたこの場所に書いてしまう。
オチなんてないし、まとまりもないけれど。

料理から思い出すことは、大切にしたいものばかりだ。

好きな食べものには思い出がぎゅっと詰まっている
例えば、おはぎなんかは
おばあちゃんと一緒に台所に立って、作り方を教わったときのこと。
はじめて一人で作ったときのこと。
遠くにいる家族に送る準備をしているところ。
冷凍してあった最後の一個を食べたときのこと。
ぜんぶが笑っている思い出じゃないけれど
どれもいつまでも大切な記憶。
好きな理由は、おいしさだけじゃない。

お花の形をした人参がちょこんとのった
高野豆腐のふわふわ煮。
大丈夫、頑張って、いってらっしゃい!と
手渡してくれたお互いに大好きな料理。
ほんとうに美味しかった。

この料理を食べたら、このときの自分を思い出すのかな
やっぱり食べることは人をしあわせにするなあ
そんなことを考えていたら、
気持ちが軽くなって、なにか吹っ切れた気がした。
すこし忘れかけて小さくなっていたものが、戻ってきた。
そんな土曜日。

本部なかの