ふきのとう

気がついたら四月、春めいている。

春になると足取りも軽くなって動き出したくなって、すこし足を伸ばして奈井江へ行った。メロン収穫のお手伝い以来。
車を四〇分ほど走らせたら田んぼや畑が広がる。空も果てしなく続いている。真っ直ぐの道路、遠くの山がくっきり見える。天気の良い昼間にこんな場所を走っている時は、だいたい頭は真っ白な気がしている。考えごとをしているようでしていない。好きな景色だなあ、気持ちいいなあ、お腹すいたなあとかぼんやり。

空知の野菜がはいった美味しいそばを食べて、畑を案内していただいた。まだまだ雪で覆われていて真っ白な畑。長靴をはいて雪の上を歩く。ザクザク、ときに膝まで埋まりながら。上を見上げたら雲ひとつない青空で、白鳥が整列して飛んでいる。見惚れる。両手も広げちゃったりして、何度も深呼吸をする。大きくて広くて眩しい景色。陽が落ちていく時間は涙が出そうになった。ここはこんな風したいんだよね、あっちには川があってさ、といろんな場所を案内してもらった。

ぐるっと回っているなかで春を見つけた。雪が溶けてきて地面が出てきた場所。ひょっこり顔を出しているふきのとう。白と茶色と鮮やかな黄緑色、春の配色。毎年のことだけれど、見つけるとやっぱり嬉しくなる。
背中に背負ったカゴにどんどん放り投げて、収穫させてもらう。すぐさま天ぷらにしていただく。（私は見ているだけ、、笑）採れたての揚げたて。何よりも贅沢な食べ方だ。。

食べながら、昔長野の白馬村で同じように案内してもらいながら、ふきのとうを摘んだ記憶を鮮明に思い出した。ゴールデンウィークにペンションで住み込みのアルバイトをしたときのこと。長野だ！あのペンションに行かなくちゃ！と謎の使命感を感じた。
料理からから思いだすことが多いのはやっぱり食いしん坊だからか。そうだったそうだった、と振り返っては納得する。変わっているようで、変わっていない。
春は希望も膨らんで明るくなる季節。

本部なかの