投稿日:二〇二二年十一月四日

寒い寒いと気付けば、一歩一歩
冬に近づいていく
今年は紅葉が目に沁みて
寒さも身に堪える

本部の店長なかのが、
いつかのわたしと同じ言葉を黒板に書いていた。
あの本部のちいさな空間の中で
過ごせば過ごすほど、
同じ気持ちになるのだと思った。
あそこのあの場所は特別で、
わたしにも多くの感情が生まれては消え、
いつも少し仄暗い中の灯りをみつめていたことを思い出した。
本部はしっとりとした夜が似合う。

一雨一度、というタイトルで開催する展示は三回目。
一雨ごとに秋が深まる、という意味がぴたりとくる。
クラシックの周りは落ち葉が溢れて、
落ち葉を漕いで来たお客さんの足あとのように
店内にも落ち葉が積もる。
きれいだ、と思う。
かさかさとした秋の足音。
外は凛とした空気
決まって秋はせつない。

「カフェ店長」というタイトルのあさゆうさんのブローチ。
長い髪をくくった、エプロン姿の女の子。
昔のわたしのイメージだという。
そうだった、わたしは髪が長くてもう少し女らしかったかもしれない。
もう女の子ではなくなってしまった。
心は永遠に、こどもでいたかった。
いろいろなものを見過ぎてしまった。
いろいろなことを経験しすぎたかもしれない。

経験とともに、背中に背負う
荷物の多いこと。
それが良いことか悲しいことか
カフェ店長にはわからない。