第一章   生い立ち

とある街の外れに、それはそれはちいさな喫茶店がありました。
ゆっくりと本を読んだり、
ひっそりとした自分の秘密の場所のような、
そんなちいさな喫茶店を作りたいと、
ママは日々をそこで過ごし、お店を営んでいました。
ちいさなお店は、とても面白いものでした。
隣同士のお客さんの社交がうまれ、人の輪が広がり、
ママは自分のお店をとても気に入っていました。
そして、喫茶店という場所がさらに好きになりました。

あっというまに八年の月日が流れたある日のこと、
老舗の喫茶店のマスターが引退する話を聞きます。
マスターは大変良い雰囲気のお店を作り上げていて、
そこには喫茶店の文化が根付いていました。
このお店をなんとか私が継げないだろうかとママは頭を捻ります。
今までちいさな箱でせっせと営んできた喫茶店を、少し大きくしてみようか。
はじめての思いに、ママは夢中で駆け回り、つばらの家族となるスタッフを抱え、
あれよあれよとお山の上にふたつめのお店を構えました。

喫茶店という自分の居場所を作り、誰かの居場所を作り、
ママは今、とてもしあわせです。
かみさま
どうかこの場所が長く誰かに必要とされますように。

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